ずくなしの気ままに 花・山

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2006年 12月 27日

エノキダケ

庭にある古い切り株に、キノコが生えてきた。
大方のキノコは夏から秋にかけて発生するが、この時期に?と思ったら、エノキダケだった。
スーパーでよく見るエノキダケは、白いもやしみたいなキノコだが、あれは暗所で栽培するからで、本当の姿はこれだ。
去年までは無かったと思う。切り株が古くなってキノコの生える条件にマッチしたのだろう。
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もう一株、充分に大きくなったものを、味噌汁に入れていただいた。大変に美味しい。
この株はもう少し大きくなるまで・・・・オアズケ
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by zukunasi_7 | 2006-12-27 16:41 | 時事
2006年 12月 18日

GPS

先月、GPSを購入した。
今回の山行で2度目の使用だが、だいぶ使い慣れてきた。
ウエイポイントを設定しておけば、そこまでの方向距離などをナビゲーションしてくれるのは便利だし、自分の通ってきた道を戻る場合など、ほぼ正確に遡ることも出来る。そして何より、山中で今自分のいる位置を、地図上で明確に知ることができるのは、非常に心強い。
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僕が購入したGPSは、GARMIN/etrexの一番安いタイプである。付属品などを含め2万円弱だった。
地図は搭載できず、設定したルートやポイントまでの距離や方向はわかるが、自分の位置を知ると言う意味では、緯度経度の数値を読み取るしかない。
このことで、購入までには相当に迷った。
地図を搭載できるタイプであれば、カーナビと同じように、一目で自分の位置を知ることが出来る。
しかし、地図の搭載できるGPSは非常に高価だ。日本語版のカラー液晶最上位機種なら12万程度、安い物でも数万円する。付属の地図だけでは山で使うには不足で、別途地形図を購入しなければならない。10万円近い出費になり、到底手が出ない。せめて数万が限度だろう。
しかし、地図が表示されずに、緯度経度の数字だけの安いタイプのGPSで、どれだけ有効に使えるものか、疑問であり、不安でもあった。地図上に15秒程度の間隔で緯度経度線を引けば、ある程度は使えると思ったが、その労力もさることながら、地図が線で埋まってしまう。
さて、どうしたものかと考えていたところ、マップポインターと言う簡単なスケールのような物の存在を知った。地図上に分単位の緯度経度線を引き、秒単位の数値をこのマップポインターの目盛りにあわせると、地図上で自分の位置を示してくれる。緯度経度の線引きも、カシミールで簡単に表示印刷できる。これならば一番安いGPSでも、十分に使えそうだと思い、購入に踏み切った。

結果として、大正解だったと思う。
確かに、地図搭載のGPSならば一目瞭然、マップポインターを当てる手間は要らない。しかし、その手間は地図にコンパスを当てる手間とさほど違いがある訳ではない。その差が数万円となると、地図の表示がないことなど、全く問題にならないと思う。
GPSで緯度経度の数値を読み取り、マップポインターを地図に当てるだけで、今自分のいる位置が、二万五千分の一の地図上でほぼ1㎜の精度で把握できる。爆撃をするわけではないから、それ以上の精度は実用上不要だろう。

実際の山歩きでは、GPSを頻繁に使うなどと言うことは無い。
今までも、地図とコンパスだけで歩いていたわけだし、アルプスの登山道などなら、地図を開くことすらほとんど無しに帰ってくることも少なくない。
しかし、ガスなどで視界が閉ざされたり、暗くなってきた時、地図コンパスだけでは自分の位置が判らない。そうした時、GPSで地図上に自分の位置を正確にプロットでき、コンパスで方向を合わせられれば、まず迷うことは無いはずだ。雪で道が消えてしまう冬山や、バリエーションルートなどでも威力を発揮するだろう。
山岳遭難の大きな原因の一つに道迷いが有る。遭難の中で大きなウエートを占めている。これもGPSが有れば、相当数が防げるはずだ。
そう言う意味で、2万円弱の出費はリーズナブルだと、僕は思う。良い買い物だった。
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by zukunasi_7 | 2006-12-18 18:54 |
2006年 12月 17日

アルバムの宣伝

MyHPに今回の山行のアルバム「初冬の南八ヶ岳」をUPしました。
ご興味のある方、見てやってください。
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by zukunasi_7 | 2006-12-17 12:16 |
2006年 12月 16日

初冬の南八ヶ岳(後編)

12月11日夜~12日

さて、コルからの下りはさほどの運動でもないので寒くて仕方ない、一刻も早くテントに入りたいが、その前に水を確保しなければならない。幸い行者小屋には冬でも使える水場がある。ポリタンをもって往復し、念入りに体についた雪を払い、テントにもぐりこんだ。
行動中は厚着をしているわけではないので、じっとしていると猛烈に寒い。まずは防寒対策、像足を履き、ダウンジャケットを羽織、尻の下にマットを敷く。バーナーに火をつけてやっと人心地。テントの中がどんどん暖かくなり、縮こまっていた背筋が延びてくる。
今夜の献立は、鍋焼きうどん・・・・と言っても、スーパーで買ったうどんとかき揚げに、刻み野菜を少々。調合してきたダシ醤油を入れて煮込むだけだが、鍋の中をじっと見ながら煮立ってくるのが待ち遠しい。冷えた体には、暖かい汁物は何よりのご馳走だ。最後の汁の一滴まで、綺麗に平らげる。と言うか、残したら処分に困る、腹の中に収めてしまうのが一番良い。腹が満ちると、例によって一服したくなる。テントから顔だけ出して吸い付けた。
見上げると真っ暗な空に星が美しい。雪を被った山並みが薄白く浮き上がって見える。月が有ったら綺麗だろうなぁと思うが、まぁ贅沢と言うもの。帰ったときについていた向こうのテントの明かりはもう消えていた。
テントに断熱性はない。火を使えば暖かくなるが、火を消せばあっという間に寒くなる。風が無いだけで外気温とさほど差が有るわけではない。一泊なのでガスは充分にある。暖を摂るのをかねて、湯たんぽを作ることにした。

食事をし、湯たんぽが出来てしまうと、やることは無い。もう後は寝るだけ。8時少し前、シュラフを広げてもぐりこんだ。
ところが、あまり眠気が来ない。昨夜はほとんど寝ていないし、今日は一日目いっぱい動いているので、普通なら爆睡していてもおかしくないのだが、ちっとも眠くならない。こうなると昨夜と同じで、時計との睨めっこになってしまう。諦めていったん消したラジオをつけて聞いていたが、また一服したくなってきた。シュラフに入ったままテントから頭を出し、毒煙を吸う。外は先ほどよりもグンと冷え込んできたようだ。

それでも何時しか眠っていたようだが、眠りが浅いせいか寝苦しさで目覚めた。時計を見ると、まだ11時半、ろくに眠っていない。「あぁあ、参ったななぁ」と思いつつ、シュラフの中が暑いのに気がついた。「???」そういえば、顔に当たる空気も心なしかヌルイように感じる。シュラフのジッパーを下げ起き上がったが、あまり寒さを感じない。ためしにテントから顔を出してみた。まだ星は出ているが、2~3時間前に比べると明確に暖かい。どうやら天気予報通り、明日は天気が崩れそうだ。
明日の予定は赤岳、予報が良くないため早朝に出発して、崩れる前に下りてきてしまう予定だが「どうしようかなぁ」と迷いが出る。あまり考えてもしょうがない、暑くては眠れないので、寒さに備え着込んでいたものを少し脱ぎ、再びシュラフにもぐりこんだ。
ウツラウツラ半眠・半覚状態だったようだが、4時半に目覚ましが鳴った。ボーッとした頭のまま、テントから顔を出してみる。見上げると星は見えない。「・・・・・・ダメだな・・・・・・」あまり深く考えず、まあ、昨日の阿弥陀で結構満足してしまっていたことも有り、赤岳中止を即断。そのままシュラフにもぐりこみ、今度は完全に眠り込んでしまった。

f0076683_22305379.jpgボーっと薄明るい天井を見上げているのに気がついた。9時少し前。寝すぎで頭が呆けている、体のそこかしこが凝って痛い。赤岳をやめてしまったので目標が無い、グズグズと起きだした。とりあえずシュラフをたたみ、外へ出てみた。霞んでいるが山は見えていた。風も無い。「ウーン、決行していれば、今頃は頂上に着いて、下っている最中かも」と思うと、ちょっと残念ではある。少し離れたお隣さんは、早くもテントの撤収中。昨日僕が阿弥陀に出かけてから着いたのだろうが、もう撤収と言うことは、そのまま下山だろうか。それとももう上から降りてきた?、まあ、人のことはどうでも良い。
f0076683_22321856.jpgまずは腹ごしらえと言うことで、湯を沸かす。今朝の献立は・・・素ウドン・・・・、昨夜もうどんで芸が無いが、メニューを考えるのはなかなか面倒なのですよ。切れるような寒さではないが、それでも標高2350mの雪の中、暖かい物は美味い。手早く済ませて、僕も撤収に掛かる。食事を終える頃から雪が降り始め、テントをたたむ頃には結構な雪降りになっていた。しかし、風が無いので助かる。

f0076683_22325380.jpg10時半、ザックを背負い、改めて山を仰ぎ見ると、大同心の辺りが薄黒い影となって見えるだけだった。雪が津々と降る中、行者小屋を後にした。
帰りのコースは南沢を下る。すぐに鬱蒼と高い針葉樹の茂る樹林帯に入る。いったん抜けて、少し広い河原を歩くが、また樹林帯に入り、後は美濃戸山荘まで樹林の中を行く。2000m付近までは雪があり、墨絵のような風景の中を行く、シーンと静かで、これもなかなか乙な物だ。
f0076683_22331131.jpg特筆するような事はあまり無い。そうそう、途中高度の高い所では歩きやすかったが、少し低くなってきてから、雪が溶け出した物が再び凍り、歩きにくいところがあった。何箇所かは迂回したり、注意して歩いたりしていたが、氷の表面が解けかけてツルツル、それが20mほど続いている所にでくわした。迂回できそうにも無いので、仕方なくアイゼンを出した。ところが皮肉な物で、それ以降アイゼンが必要なところはなかった。岩や石にアイゼンがかんで、ギシギシガリガリ、アイゼンも地球もかわいそう。しばらくはアイゼン訓練と思って歩いていたが、雪が減ってきたところで脱いだ。
f0076683_22335177.jpg急ぐ旅でもないので、GPSをいじってみたり、一服したり、残った行動食を腹に詰め込んで始末したり。のんびりとした山旅・・・・は良いが、美濃戸山荘についたのは1時少し前、この下りに2時間半はいくらなんでも時間の掛けすぎだろう。
そこで一服後は、普通のペースに戻って、午後2時美濃戸口に到着。山荘で駐車料千円を払い、早々に温泉を目指して車を出した。(終わり)
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by zukunasi_7 | 2006-12-16 22:43 |
2006年 12月 14日

初冬の南八ヶ岳(中編)

12月11日(下)
腹は満たされたが、食事をしたら片付けねばならない。家でならご馳走様で済むが、ここではそう言うわけには行かない。一服吸い付け、コッフェルを拭きスタッフバックに入れてテントにしまう。片付けを終え顔を上げると、腰にガチャをいっぱい下げた二人組みが降りてきた。どこを登ってきたのだろう。木陰のテントへ向かっていった。これから撤収かな?今夜は一人かもしれない。時計は12時35分、なんと一時間以上も停滞してしまった。
f0076683_17524947.jpg「さて、行くか・・・」まずは文三郎と阿弥陀への分岐に向かう。再び樹林帯に入り、踏み跡をたどる。さほどきつくも無い傾斜だが、足が重い。荷物だってせいぜい5~6kg程度、先ほどまでと比べれば空身と変わらないが、やたらに息が切れるし気だるい。どうも食いすぎ休みすぎのようだ。「参ったなぁ、あのまま登れば良かった。」後悔するも後の祭り。それでも10分強で分岐に到達。左へ文三郎尾根を登り、中岳経由で登る手もあるが、随分と時間を浪費してしまったので、右へ中岳と阿弥陀のコルを目指す。
f0076683_1756266.jpgすでにこの時期、阿弥陀への夏道は使えない、中岳沢を直登する。雪に埋まったV字の谷底をトレースが上に向かって延びている。有りがたい、体調も先ほどよりはマシになり、順調にトレースをたどる。中岳沢はもう少し雪が増えると、雪崩の危険があるそうだが、今の時期は使えるらしい。徐々に傾斜がきつくなる。木々も、いつの間にか針葉樹林から落葉潅木に変わり、周囲が明るくなる。谷底ゆえに左右の見通しは無い。前方を見上げると、V字の向こうにこれから向かう阿弥陀が、日の当たらない暗い表情で聳えている。後方は高度が上がるに連れ、視界が開け、陽射しの下横岳から硫黄の稜線が美しい。

f0076683_17564826.jpg傾斜が一段ときつくなり、ふと見上げると、トレースが途切れてしまった。今までたどってきたのは、多分昨日の降りのトレースだろうが、狭い谷底に雪が吹き溜まり、覆い尽くしてしまったらしい。ルートに迷いは無いので直登する。サラサラした乾いた雪で、しっかり蹴りこまないとスタンスが崩れる。最初のうちは浅かったのでさほどでもなかったが、次第に深くなり、腿の辺りまで埋まるようになってしまった。思わぬところでラッセルを強いられる。実は土曜日辺り天気が悪かったので、入山者が少なく新雪も深いかもしれないと、ワカンを持ってきていたのだが、それまでの行程でしっかりとトレースが有ったため、テントに置いてきてしまった。
「ああ、あのワカンがあれば・・・」と思っても、手元に無い物は仕方がない。もがき登るうち、傾斜がゆるくなり谷が広くなると、またトレースが現れた。「ヤレヤレ」と一息、そしてしばらく進むとまたトレースが消えた。今度の吹き溜まりは、雪というより、細かい氷の吹き溜まりだ。よく見ると木々の枝先に付いていた霧氷?あるいは雪の塊が落ちてきた物のようだ。観察していると、両側の雪の斜面をその氷片がパラパラと滑り落ちてくる。半透明のクラッシュアイスの堆積だ。先ほどの吹き溜まりほど深くは無いが、踏んでも締まらないので始末が悪い。f0076683_17584196.jpg一歩ごとにザラザラと足元が崩れる。さほど長くは無かったが汗をかきながら登りきり、肩で息をつきつつ振り返ると、一段と美しい景色に癒された。
その後も傾斜が緩急し、谷が広がり狭まるに連れ、吹き溜まりとトレースが交合に現れた。いったい何度目だろうまたトレースが消えた。見上げるとさほど高くは無いが、キツイ傾斜の上に青空が広がる。「どこまで来たんだ?後どれくらいあるのだろう?」いい加減嫌気が差してへたり込む。GPSを取り出し位置確認・・・・ン?次のルートポイント中岳コルまでの距離・・・・「17・・・17m!!何ィ?」笑ってしまった。後たった17mでへたり込んでいたことになる。飛び起きて数メートルの急傾斜を上がると、後はなだらかに登るだけだ。
f0076683_17595088.jpgいつものことながら、主稜線に上がる時の気分は格別だ。それまで空しか見えなかった視界が、一歩進むごとに開け、向こうの世界が姿を現す。「すごい!!!」左手は今まで尾根に隠れていた赤岳が、そして右手には権現岳その全貌を現す。阿弥陀の稜線と権現岳の間に、南アルプスが見える。そして、赤岳と権現を結ぶUの字の稜線の中央、低く展開する雲の上に富士がぽっかりと浮かんでいた。14時丁度、稜線に達する。

f0076683_1805197.jpg景色に圧倒され、しばらくは動く気になれない。お茶を飲みながら景色を堪能した。
しかし、何時までもそうしてはいられない。これから登る阿弥陀へのルートを見上げるていると、少し緊張してくる。まだ冬道を使えず、夏道を行くことになる。ここでアイゼンをつけることにした。ここの雪はアイゼンをつけるような状態ではないが、高度が上がり、傾斜がきつくなるとどうなるか判らない。
「さて、行くぞ!」気を引き締めて立ち上がった。14時30分

最初はゆるい傾斜をだらだらと登っていく。と、すぐに半分雪に埋もれた梯子が、黒い大きな岩に掛かっているのに行き当たる。これは問題なく通過。
その上は、またしばらくゆるい傾斜の雪道が続く。だんだん傾斜が増していくが、アイゼン歩行と言う感じではない。普通にキックステップで登っていく。さらに傾斜が増し、細い鎖が雪から露頭していた。しかしここは鎖に頼る必要を感じない。ピッケルを差込みながら普通に歩ける感じだ。そのまま通り過ぎまたゆるい傾斜を登る。
f0076683_1824695.jpg振り返ると中岳から赤岳への稜線が美しい。そして赤岳がいよいよ高く聳えてその険しい表情をあらわにしてくる。
緩急を繰り返しながら登っていくが、今度は太い鎖が現れた。下のほうは半分雪に埋もれているが、その辺りは問題なく歩ける。そこからグンと傾斜を増し、鎖が完全に露出している辺り、左手は鎖を持ち、右手はピッケルのピックを打ち込んで登る。このくらいの傾斜になると鎖は頼もしい。これが埋もれたしまったら?と思ったが、その頃には冬道が使えるのだろう。ここも問題なく通過してしばらく行くと、そこで、多分今日最大の難関?に遭遇した。
正面は3mほどの切り立った岩場、右に巻けそうだが、そちらは雪に埋もれた細い足場で、足元からすっぱりと切れ落ちている。ウーン・・・どちらも恐そう。多分本来の夏道は巻くほうだろうが、今は直登のほうが良さそうに見える。取りあえず岩に取り付いた。
f0076683_1852532.jpgここでアイゼンが今日始めて本領を発揮、前爪が小さなスタンス(正式にはフットホールドと言うのかな)でもきちんと係り、安心できる、足は問題なし。右手はピッケルを雪や岩の隙間に打ち込んで、これも良い。問題は左手、岩の角や頭は雪が被り、隙間は凍って指がしっかり掛からない。手探りでホールドを探しながら登る。それでもじりじりと登って、岩場を乗り越えた。
嫌だなと思ったのは少しキツイ傾斜で、雪の付が薄いところ。2本足だけではちょっと不安で、ピッケルを差し込んで支点にしたいが、スピッツェを差し込んでも、雪が浅くろくに刺さらないところがある。何度か差しなおしたりして、手間が掛かった。
緩急を繰り返しつつ、先ほどのような岩場を都合3回ほど越えただろうか、最後の岩場を越えた時、阿弥陀の頂上が真正面に見えた。眼前は切り立った岩場に見える。内心「あんなところ登れないぞ・・・・」と思いつつ、踏み後をたどると、15時20分、右側から大きく巻いてあっさりと頂上に着いてしまった。

夏のコースタイム25分を倍の50分掛かったが、それでも何とか阿弥陀の頂上を踏んだ。
f0076683_1865037.jpgここも素晴らしい景色だ。赤岳から横岳・硫黄・天狗、そして北八ヶ岳・蓼科山・霧ヶ峰、権現・編笠・西岳、遠く南アルプス、御岳、北ア、家の裏山鉢伏も見えている。極め付けはやはり富士山かな。
既に日は傾き始め、先ほどまで青白かった光が、少し黄味を帯びてきた。頂上では風を覚悟していたが、ほとんど無風に近い。呆けたように景色を眺めていると、南稜側からヘルメットを被った、男女3人のパーティーが登ってきた。なんと慌ただしいことか、数分もいないで記念写真をとった後、御小屋尾根のほうへ降りて行った。この時間に登ってくると言うことは、南稜を登り日帰りすると言うことか、すごい人たちがいるものだ。
僕の方は相変わらずのんびりと、山々の表情が変わっていくのを眺めていた。

f0076683_1881464.jpgさて、だいぶ日が傾いた。日没まで居たいが、暗くなってからコルまでの下りを歩くのは避けたい。16時、後ろ髪を引かれながらも、頂上を後にする。
先ほどは登りでは後ろにあった赤岳が、下りでは真正面に見える。日の傾きと同時に刻々と色を変える赤岳・横岳が素晴らしい。足元に行っていた視線を上げるごとに表情が違う。その都度カメラを出して写真を撮る、下りも思ったほどにははかどらない。登りで苦労したところは、下りでも手間が掛かる。結構高度感が有り、恐い場所もある。写真を撮ってみたが、やはり高度感を出すのは難しいようだ。
先ほどまであまり寒さを感じなかったが、日が翳り急に寒くなってきた。鎖場では、鎖を持つ手が冷たさでしびれる。手袋が凍ってきた。
f0076683_1883483.jpg先ほどの梯子のところまで下りたところで、多分日没だったのだろう。赤岳がピンクに染まる。寒さを我慢し、しばらくそこで眺めていた。
16時40分、中岳と阿弥陀のコルに戻った。

地平線の上がピンクに色付き、空が青みを増す。だんだんと暗くなってきたが、ここまで戻ればもう心配ない。
f0076683_1894884.jpgゆっくりと夕暮れの風景を楽しむ。甲府?それとも小淵沢辺りだろうか、富士の手前に広がる平野に夜景の明かりがまたたき出す。黄色から赤・ピンクと色を変えてきた山々も、いまは色を失い、暗闇にほの白く浮かび上がっている。星が出てきた。
猛烈に寒い。荷物のなかからシャツを一枚取り出して着込む。手袋もオーバー手袋を嵌めた。アイゼンを外して仕舞い、へっトランプを点灯する。
テルモスに残ったお茶を飲んだ。既に温いがそれでも冷え切ったた体にはありがたい。
17時、中岳沢を下る。
登りで苦労した中岳沢も、下りでは早い。傾斜の多少ゆるいところでも、足踏みをしているだけでどんどん降る。ちょっときついところでは尻セードですべり降りる。谷筋で雪に埋まっているため、障害物は何もない。1時間半かかって登った道を20分降りてしまった。
すっかり暗くなったテントサイトへ戻ってくると、小屋近くの広場にテントが一張、ボーッとシルエットが薄明るく浮かび上がっている。
無事に戻ってきたという安心感に包まれた。
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by zukunasi_7 | 2006-12-14 18:10 |
2006年 12月 13日

初冬の南八ヶ岳(前編)

この日記も随分とサボってしまった。自分の場合、花が終わるとあまり写欲が湧かなくなる。
この間、山へはそれなりに行っているが、ズクナシの本領発揮で、写真と同様日記のほうもサボってしまった。
その記録もおいおい上げたいと思うが、先日久しぶりに単独で山に入った。前後逆転するが、その記録をまずはUPしたい。
当初は、12月12~13日の予定で計画していたが、天気予報の状況で急遽11日からに日程を繰り上げ、赤岳・阿弥陀岳を目指した。

12月11日の上

前夜は、久しぶりの単独登山と言う事で、意識はしないが緊張していたのだろう。なかなか寝付けず、寝返りを打っては闇に浮かぶ時計の数字を眺めていた。結局2時まで覚えているが、その後少しは眠ったらしい。
3時半に目覚ましが鳴った。天気予報では今日は晴天、明日は早くも崩れるらしい。少しでも早出して、今日中に阿弥陀だけでも登っておきたかった。しかし、さすがに1時間ちょっとの睡眠ではすっきりとは目覚めない。うつらうつらしている間に4時半になっていた。
慌てて起きだし着替えを済ませ、テルモスにお茶を詰た。パッキングしてザックを車に運ぶ。折角準備をしておきながら、装備を車に乗せ忘れたことが何度も有るので、慎重に点検して車を出した。その時はまだ暗かったが、塩尻峠に差し掛かる頃には明るくなり始めていた。そのまま下道を行きたかったが、出遅れのため岡谷で高速に乗り諏訪南を目指す。高速を降りたところでコンビニに寄り腹ごしらえ、そしてトイレを借りた。
さて、美濃戸口に車を置くか、美濃戸まで入るか、迷いながら車を出した。
6時20分美濃戸口到着、ここに車を置こう。
そろそろ日の出かな?周囲は充分に明るい。
靴を履き、体をほぐす。周りを見回しても、駐車している車は小屋のものらしい軽トラしか見当たらない。計画書をポストに投函しザックを背負う。そこへ一番のバスがやってきたが、誰も乗っていない。さすがに週明けの月曜日、これから山に入るというお馬鹿さんは、一人しかいないようだ。
6時50分、少々心細い気分で歩き出した。

美濃戸まで長い長い林道歩き、雪は全く無いが荷物がやけに重い。天泊装備とカメラで21kg.強。おまけに、歩き出して早々少し下る。これから随分と登らねばならぬのに、初っ端から下るのは精神的に堪える。「やっぱり美濃戸まで車で行けば・・・・」ボヤキが出るが、駐車料一日五百円と千円×2日の差は無視できない。「アルバイト、アルバイト」下りきって橋を渡りいよいよ登り、沢の右岸を行く。林道だから勾配はゆるいが、それでも息が上がってくる。ヘアピンカーブをショートカットして、少し得した気分。途中、道が二股に分かれる。林道に違いは無いが、落ち葉が積もって少しでも山道っぽいほうを選択、真っ直ぐな車道を行くよりは気分が良い。その道が合流し、再び砂利道歩き。道は冷えて凍っているようだ、砂利道も舗装路のように感触が硬い。支沢を渡り少し道が急になる、その向こうに建物が見え始めた、美濃戸までもう一息。2軒の山荘の前に大きな駐車場があるが、そこにも車はいない。静かなのは大歓迎だが、あまり閑散としているのは心細い。立派な木橋を渡ってもう一登り、7時45分美濃戸山荘に到着。

f0076683_21243879.jpg山荘もシーズンオフと言った感じで開いていない。とりあえずザックを下ろし一休み。雪は全く無い、上空はまだ少しガスっている、本当に晴れてくれるのだろうか。先月購入したばかりのGPSをいじっていると、あっという間に時間がたつ。気がつけば8時、慌ててザックを背負う。

山荘の前が北沢コースと南沢コースの分岐点。今回は北沢を行くが、またしばらくは退屈な林道歩きが続く。道の両脇に白い物が目に付くようになり、道が沢に近づく。橋の上から見下ろすと、沢の石の上に砂糖をまぶしたように雪が乗っているのが見えた。北沢の右岸を林道は続く、見下ろす沢や、道脇の雪の量が少しづつ増えていく。車の回転広場を通過、その先に車の通れない橋が掛かって林道が終わった。f0076683_21263142.jpg
橋の上には薄く雪が乗り、踏み後は見えるが昨日のものだろう、足跡にも雪が薄く被っている。橋の上から上流を見上げると、暗い谷筋の上に、真っ青な空と朝日に輝く真っ白な峰が見通せる。「オオ・・・」思わず吐息が漏れた。橋を渡りきり、ザックを下ろしカメラを出す。橋上に戻り写真を撮るが、目の前はコンクリートの堰堤で今一、コントラストも強すぎて写真にならなかった。時計を見ると8時55分、沢沿いの道と迂回路との分岐に到着した。

橋の袂に腰を下ろし、持参のパンと紅茶を補給しながら、GPSをチェック。地図とは少しズレがあるようだが、どちらが正しいのか、まああまり気にしてもしょうがない。素晴らしい天気に期待が膨らむ、カメラを出すか仕舞うか迷うが、結局仕舞い込み、15分ほど休んで腰を上げた。
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堰堤の脇を通り過ぎ、いよいよ山道らしくなって来た沢筋を行く。次第に増えた雪の上をサクサクと歩く。左岸・右岸と何度か沢に掛かった小橋を渡るが、その度に上流を見上げると素晴らしい景色で、立ち止まってはザックを下ろしカメラを出す。足取りは遅々として進まない。最初は出し入れしていたが、結局カメラを提げて歩き始めた。時折雪解けの水が登山道に流れ、カチカチに凍っていていやらしい。登りは良いが、下るときは恐そうだ。比較的ゆるい登りだが、それでも体は汗ばむほど暑い。しかし、顔に触る空気はピリリと冷たく張り詰めている。
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だいぶ登ってきただろう。雪は15㎝か20㎝か、一面の銀世界に変わっていた。低くなってきた樹林の間から時折、真っ白な横岳が顔を出す。そのつどカメラを構えていて、なかなか先に進めない。「こんな調子では人とは歩けないよなぁ」と苦笑い。この辺りで今日始めて人に会う。若い小屋番さんだろうか、空の背負子を背負って勢いよく降りてきた。そしてしばらく、迂回路との合流点を通過し、赤岳鉱泉まではもう一息と言ったところ、樹林の上に奇怪な岩塔、横岳大同心がそそり立ち、いよいよそれが眼前に迫ってくる。
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「ウーン」真っ青な空と真っ白な峰峰、硫黄から横岳へかけての稜線、言葉にならない。そしてようやく赤岳鉱泉が見えてきた。左から大きく回りこみ、鉱泉の玄関口へ、10時20分。
当初の目論見よりも20分ほど遅れているが、まあ仕方がない。f0076683_2138343.jpg
これだけの晴天、素晴らしい景色。道標の前に腰を下ろし、ゆっくりとお茶を飲む。
この赤岳鉱泉も静かな物だ。奥に人の気配はあるが、客はいないようだ。

ここでも15分ほど時間をすごし、腰を上げた。鉱泉の前を横切り樹林帯へ、今日の宿営地行者小屋へ向かう。
中山乗越へ、深く暗い樹林帯の中をゆく。急登と言うほどではないが、今までの道に比べるとずんと勾配がキツイ。樹林の中をジグザグに少し息を切らせながら登っていく。積雪は20㎝ほどだろうか、ギュギュという足音、程よくしまって歩きやすい。時折振り返ると、横岳大同心や硫黄が良く見える。
f0076683_21391183.jpg30分ほどで中山乗越に上り詰めた。前方の視界は木立に遮られるが、後方は良く見えている。後で聞いた話だが、中山展望台からの景色が素晴らしいらしい、次の機会には是非行って見たい。しばし立ち止まり景色を楽しみ前に進む。ここからは少し下る。樹林を抜けると正面に阿弥陀、左上方に赤岳、右下に行者小屋、写真を一枚。
f0076683_21412030.jpgそのまま一気に下って行者小屋の前へ。テントをどこに張ろうか考えながら小屋の前を通り過ぎる。見渡したがテントは一張も無い?と思ったら、左奥の木の陰に一張だけ有った。小屋の近くの広場は足跡だらけで落ち着かない。少し前方に小さな木立があり、その前が小広場になっている。近づいてみると、撤収した後が有った。丁度一張分、綺麗に整地されアンカーの石も有る。振り返ると景色も良い、ラッキー!!ここに決めた。ザックを下ろしまずは一服、11時20分だった。
早々にテント設営に取り掛かる。この後阿弥陀に登りたいので、そうゆっくりもしていられない。整地されているので設営自体は楽な物だ。テントが立ち上がり、ザックを放り込む。阿弥陀へ持っていく装備を小分けしてサブザックに詰め込み「さて・・・」と時計を見ると12時20分前、急にお腹がすいてきた。「うーん・・・何か食べるか・・・」行動食のパンでは物足りない雰囲気。予備に持ってきたラーメンを作ることにし、近くに有った切り株を運んできて、それを椅子に腰を据えてしまった。
f0076683_2144549.jpg「こんなことをしていて良いのかい?まあいいさ~」自問自答しつつお湯を沸かす。日当たりが良く風も無いので暖かい。煮え立ってきたお湯にラーメンと刻み野菜を放り込む。見上げると真っ青な空に真っ白な赤?岳・・・なんともHappyな三分間。そして鼻水をたらしながら、ラーメンを最後の汁まですすった。
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by zukunasi_7 | 2006-12-13 21:47 |