2006年 12月 13日
この日記も随分とサボってしまった。自分の場合、花が終わるとあまり写欲が湧かなくなる。 この間、山へはそれなりに行っているが、ズクナシの本領発揮で、写真と同様日記のほうもサボってしまった。 その記録もおいおい上げたいと思うが、先日久しぶりに単独で山に入った。前後逆転するが、その記録をまずはUPしたい。 当初は、12月12~13日の予定で計画していたが、天気予報の状況で急遽11日からに日程を繰り上げ、赤岳・阿弥陀岳を目指した。 12月11日の上 前夜は、久しぶりの単独登山と言う事で、意識はしないが緊張していたのだろう。なかなか寝付けず、寝返りを打っては闇に浮かぶ時計の数字を眺めていた。結局2時まで覚えているが、その後少しは眠ったらしい。 3時半に目覚ましが鳴った。天気予報では今日は晴天、明日は早くも崩れるらしい。少しでも早出して、今日中に阿弥陀だけでも登っておきたかった。しかし、さすがに1時間ちょっとの睡眠ではすっきりとは目覚めない。うつらうつらしている間に4時半になっていた。 慌てて起きだし着替えを済ませ、テルモスにお茶を詰た。パッキングしてザックを車に運ぶ。折角準備をしておきながら、装備を車に乗せ忘れたことが何度も有るので、慎重に点検して車を出した。その時はまだ暗かったが、塩尻峠に差し掛かる頃には明るくなり始めていた。そのまま下道を行きたかったが、出遅れのため岡谷で高速に乗り諏訪南を目指す。高速を降りたところでコンビニに寄り腹ごしらえ、そしてトイレを借りた。 さて、美濃戸口に車を置くか、美濃戸まで入るか、迷いながら車を出した。 6時20分美濃戸口到着、ここに車を置こう。 そろそろ日の出かな?周囲は充分に明るい。 靴を履き、体をほぐす。周りを見回しても、駐車している車は小屋のものらしい軽トラしか見当たらない。計画書をポストに投函しザックを背負う。そこへ一番のバスがやってきたが、誰も乗っていない。さすがに週明けの月曜日、これから山に入るというお馬鹿さんは、一人しかいないようだ。 6時50分、少々心細い気分で歩き出した。 美濃戸まで長い長い林道歩き、雪は全く無いが荷物がやけに重い。天泊装備とカメラで21kg.強。おまけに、歩き出して早々少し下る。これから随分と登らねばならぬのに、初っ端から下るのは精神的に堪える。「やっぱり美濃戸まで車で行けば・・・・」ボヤキが出るが、駐車料一日五百円と千円×2日の差は無視できない。「アルバイト、アルバイト」下りきって橋を渡りいよいよ登り、沢の右岸を行く。林道だから勾配はゆるいが、それでも息が上がってくる。ヘアピンカーブをショートカットして、少し得した気分。途中、道が二股に分かれる。林道に違いは無いが、落ち葉が積もって少しでも山道っぽいほうを選択、真っ直ぐな車道を行くよりは気分が良い。その道が合流し、再び砂利道歩き。道は冷えて凍っているようだ、砂利道も舗装路のように感触が硬い。支沢を渡り少し道が急になる、その向こうに建物が見え始めた、美濃戸までもう一息。2軒の山荘の前に大きな駐車場があるが、そこにも車はいない。静かなのは大歓迎だが、あまり閑散としているのは心細い。立派な木橋を渡ってもう一登り、7時45分美濃戸山荘に到着。 山荘もシーズンオフと言った感じで開いていない。とりあえずザックを下ろし一休み。雪は全く無い、上空はまだ少しガスっている、本当に晴れてくれるのだろうか。先月購入したばかりのGPSをいじっていると、あっという間に時間がたつ。気がつけば8時、慌ててザックを背負う。 山荘の前が北沢コースと南沢コースの分岐点。今回は北沢を行くが、またしばらくは退屈な林道歩きが続く。道の両脇に白い物が目に付くようになり、道が沢に近づく。橋の上から見下ろすと、沢の石の上に砂糖をまぶしたように雪が乗っているのが見えた。北沢の右岸を林道は続く、見下ろす沢や、道脇の雪の量が少しづつ増えていく。車の回転広場を通過、その先に車の通れない橋が掛かって林道が終わった。 橋の上には薄く雪が乗り、踏み後は見えるが昨日のものだろう、足跡にも雪が薄く被っている。橋の上から上流を見上げると、暗い谷筋の上に、真っ青な空と朝日に輝く真っ白な峰が見通せる。「オオ・・・」思わず吐息が漏れた。橋を渡りきり、ザックを下ろしカメラを出す。橋上に戻り写真を撮るが、目の前はコンクリートの堰堤で今一、コントラストも強すぎて写真にならなかった。時計を見ると8時55分、沢沿いの道と迂回路との分岐に到着した。 橋の袂に腰を下ろし、持参のパンと紅茶を補給しながら、GPSをチェック。地図とは少しズレがあるようだが、どちらが正しいのか、まああまり気にしてもしょうがない。素晴らしい天気に期待が膨らむ、カメラを出すか仕舞うか迷うが、結局仕舞い込み、15分ほど休んで腰を上げた。 堰堤の脇を通り過ぎ、いよいよ山道らしくなって来た沢筋を行く。次第に増えた雪の上をサクサクと歩く。左岸・右岸と何度か沢に掛かった小橋を渡るが、その度に上流を見上げると素晴らしい景色で、立ち止まってはザックを下ろしカメラを出す。足取りは遅々として進まない。最初は出し入れしていたが、結局カメラを提げて歩き始めた。時折雪解けの水が登山道に流れ、カチカチに凍っていていやらしい。登りは良いが、下るときは恐そうだ。比較的ゆるい登りだが、それでも体は汗ばむほど暑い。しかし、顔に触る空気はピリリと冷たく張り詰めている。 だいぶ登ってきただろう。雪は15㎝か20㎝か、一面の銀世界に変わっていた。低くなってきた樹林の間から時折、真っ白な横岳が顔を出す。そのつどカメラを構えていて、なかなか先に進めない。「こんな調子では人とは歩けないよなぁ」と苦笑い。この辺りで今日始めて人に会う。若い小屋番さんだろうか、空の背負子を背負って勢いよく降りてきた。そしてしばらく、迂回路との合流点を通過し、赤岳鉱泉まではもう一息と言ったところ、樹林の上に奇怪な岩塔、横岳大同心がそそり立ち、いよいよそれが眼前に迫ってくる。 「ウーン」真っ青な空と真っ白な峰峰、硫黄から横岳へかけての稜線、言葉にならない。そしてようやく赤岳鉱泉が見えてきた。左から大きく回りこみ、鉱泉の玄関口へ、10時20分。 当初の目論見よりも20分ほど遅れているが、まあ仕方がない。 これだけの晴天、素晴らしい景色。道標の前に腰を下ろし、ゆっくりとお茶を飲む。 この赤岳鉱泉も静かな物だ。奥に人の気配はあるが、客はいないようだ。 ここでも15分ほど時間をすごし、腰を上げた。鉱泉の前を横切り樹林帯へ、今日の宿営地行者小屋へ向かう。 中山乗越へ、深く暗い樹林帯の中をゆく。急登と言うほどではないが、今までの道に比べるとずんと勾配がキツイ。樹林の中をジグザグに少し息を切らせながら登っていく。積雪は20㎝ほどだろうか、ギュギュという足音、程よくしまって歩きやすい。時折振り返ると、横岳大同心や硫黄が良く見える。 30分ほどで中山乗越に上り詰めた。前方の視界は木立に遮られるが、後方は良く見えている。後で聞いた話だが、中山展望台からの景色が素晴らしいらしい、次の機会には是非行って見たい。しばし立ち止まり景色を楽しみ前に進む。ここからは少し下る。樹林を抜けると正面に阿弥陀、左上方に赤岳、右下に行者小屋、写真を一枚。 そのまま一気に下って行者小屋の前へ。テントをどこに張ろうか考えながら小屋の前を通り過ぎる。見渡したがテントは一張も無い?と思ったら、左奥の木の陰に一張だけ有った。小屋の近くの広場は足跡だらけで落ち着かない。少し前方に小さな木立があり、その前が小広場になっている。近づいてみると、撤収した後が有った。丁度一張分、綺麗に整地されアンカーの石も有る。振り返ると景色も良い、ラッキー!!ここに決めた。ザックを下ろしまずは一服、11時20分だった。 早々にテント設営に取り掛かる。この後阿弥陀に登りたいので、そうゆっくりもしていられない。整地されているので設営自体は楽な物だ。テントが立ち上がり、ザックを放り込む。阿弥陀へ持っていく装備を小分けしてサブザックに詰め込み「さて・・・」と時計を見ると12時20分前、急にお腹がすいてきた。「うーん・・・何か食べるか・・・」行動食のパンでは物足りない雰囲気。予備に持ってきたラーメンを作ることにし、近くに有った切り株を運んできて、それを椅子に腰を据えてしまった。 「こんなことをしていて良いのかい?まあいいさ~」自問自答しつつお湯を沸かす。日当たりが良く風も無いので暖かい。煮え立ってきたお湯にラーメンと刻み野菜を放り込む。見上げると真っ青な空に真っ白な赤?岳・・・なんともHappyな三分間。そして鼻水をたらしながら、ラーメンを最後の汁まですすった。
by zukunasi_7
| 2006-12-13 21:47
| 山
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